更新日程(仮)

月〜木曜日 【閃空輝光
土曜日 【真紅の絆】か【この青い、世界の下で。
     または短編、あるいはお休み。
金曜日 【キミとの、最後の思い出。】(改稿版)。
   記事タイトルは【L your M】で表記します。
日曜日 詩 or お休み。(予定)

その他、連載または連作物は不定期に、土曜日に更新予定。


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【真紅の絆】07

第2章 心傷を抱える者(1)


 ゆっくりと歩く坂道は、焔樹の通う学校へと続く。
 そこに、異端の存在が一人。
 異端のと言っても、本当の正体からではない。
 
「よっ。昨日、子供を助けたんだってな?」

 ポンッと肩を叩き、馴れ馴れしく声をかけられる。
 振り返り、馴れ馴れしかった理由が判明した。
 荘野高見(しょうのたかみ)、どちらが苗字でもおかしくない。
 
「…何で知っている?」

 朝からテンションが高い奴に、うんざりしながら言葉を返す。
 うんざりはするが、嫌いではない。

「この辺で、金髪で青い目の年頃が高校生くらいってば、ラディス以外に居るか?」

「……他人の空似だ」

「まーたまた。お前の冗談って、結構笑えないぞ」

「…笑わせるつもりで、冗談なんか言うか」

 金髪に、碧眼。
 日本という世界では、この色は目立ってしまう。
 何十年かの間、大分薄れてきた意識ではあるが。
 完全には消え去らない。
 当たり前になるまでは、もう少し時間が必要だ。

「いや、それ…違うぞ」

「何がだ?」

「笑わせるつもりだから冗談を言う。つもりがないから、至極真面目に答えるんじゃないか?」

「…俺は冗談など言わない。だから、笑わせるために言った訳ではない」

「うーん…捉え方の違いってやつ?」

「どうだか」

 高見との会話をしている中、焔樹は黙ったままだ。
 内容が、昨日の一件だからである。
 思い出し、怒りが込み上げてきているのだろう。
 聞かずとも、雰囲気で分かる。
 だから、あえて話も振らず。
 自ら加わってくるまで、何もしない。
 暗黙での、ルール。

「でも、凄いよな。普通、走ってくる電車に向かって飛び込めないって」

「…もう、その話はいいだろ」

 今度は、本当にうんざりと返事をする。
 この調子で話されると、事態は悪い方向へ向かいそうだった。
 また喧嘩になる。
 そうではない。
 喧嘩よりも、もっと悪い方向だ。

「え? あー……うん。焔樹、悪いな」

「…いいよ」

 察してくれたのか、会話を終了させる。
 悪い方向とは、死の話。
 たとえ、もしもの可能性だとしても、話してはならない。
 焔樹の心傷(トラウマ)。
 死と血の話はしてはならない。
 この学校では、知れ渡った禁句。
 いつしか、定着した。
 これも、暗黙のルール。

「それより、早く行こう。のんびりし過ぎ」

「あ、もうそんな時間か」

「…誰のせいだ」

 一歩先を歩く背を見ながら、共に歩き出す。
 心に、複雑な想いを抱えて。


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