【閃空輝光】9章30 

9章:遠い日の過去、迷える真実は。 30


 偶然とはいえ、ここに来てくれたことに感謝する。
 正直、彼が居なかったら……まともな会話『も』できなかっただろう。
 そこまで酷くはならないと思うけど…………自信がない。
 多分、ありったけの攻撃魔法を叩き込んだだろう。
 今、コイツを倒せば魔王の防御が一枚薄くなる。
 そんなことを考えて。
 話を聞くことはない。
 迷うな。
 ぶっ倒せ。
 ――って。
 確実に、思ったわ……。
 そこまで好戦的な性格じゃなかったはず。

「……変わったよね〜」

「そう、ですね」

 多分、違う意味で捉えて『そうですね』と賛同したと思う。
 けど、捉え方は間違っているとは言えない。
 きっとどこかがあっていると思うし、共通するところもあるはずだから。

 星のない夜空を、黙って見上げた。



 正直に言おう。
 顔が見られないかもしれない。

 屍が、のん気にご飯を食べている。

 意識するなというのは、思っていた以上に難しい話だった。
 秘密を隠し抱える辛さを、改めて痛感する。
 ――アルスフィルは生きている。身体のどこも腐敗していない。
 頭では分かっている。
 だけどつい、想像してしまう。


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【空の守護者】28 


「…………ジョーダンだって。オレも、そんな真似しねーよ。ただ……な」

「――悲しくなる、か。俺も、そう思う」

 自分の髪の毛に触れ、空を見上げながらエリオストは言う。
 彼の髪は、この国では珍しい部類に入る。
 金に目が眩んだ視線は、常日頃から感じていた。
 仕方ない――と片付けられない。
 髪を売らなくて済む世の中にならない限りは……。

「この髪の色は、どうやって生まれるのか。永遠の謎だろう」

 ある学者は、魔力の色だと言った。
 ある学者は、生まれ持った属性だと言った。
 正しいのは何なのか?
 人の生態、その半分も解明されていない。

「…………しかし、せめて隠すべきでした」

「あ?」

「これって……ボクたちヤバめ?」

 気がつけば、周りを取り囲まれている。
 手には刃こぼれしているナイフ、スコップ、木材など武器になる物。
 視線はルディオスと、エリオストに向けられていた。
 ローウ村の生存者を探す所ではない。

「お、お前たち二人、か、金目の物を置いていけ!」

「そ、そうじゃ! わしらは食うに困っとるんじゃ!」

「金を寄こさないなら、さっさと出てけー!」

 口々に飛ばす罵声は、悲痛な叫びと同じだった。


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【閃空輝光】9章29 

9章:遠い日の過去、迷える真実は。 29


「とにかく、秘密ってことだね。もし言うとするなら……ゼロ、かな?」

「『とてもしんだとはおもえない』ですか?」

「そう。もしかしたら……もしかするから」

「…………分かりました。このことに関しては、ティルシアさんの判断に任せます」

 それまでは知らぬ振りを続ける。
 リュークなりの気遣いで。
 このことに関しては、これ以上は考えないことにした。
 考えても無駄なら、考えない。
 時が来たら。
 全てを解決してくれることを、ただ祈った。

 話を、最初の疑問に戻そう。

「そー言えば、何でリュークがここに? タイミング、良すぎない?」

「えっ? な、何でと言われましても…………胸騒ぎがしたからとしか」

「それだけ?」

「それだけ、です。胸騒ぎがする。そういった時の予感ほど当たりますから、気になって」

「予感のする方へ来てみたら、ビンゴ、だったってワケ…………ふーん」

「…………納得、していただけませんよね?」

「ま、そーゆーことにしておくわ。その方が楽でしょーし」

 別に追求するつもりもないし。
 隠したいなら、隠させておいても構わない。
 結果オーライ。


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【空の守護者】27 


「――お嬢ちゃん。髪もね、人にとって大切な部分なんだ。
 お嬢ちゃんもその髪、『ちょうだい』と言って切られたりしたら、嫌にならない?」

 ラル・ラウトが、女の子と同じ目線で話す。
 優しく、優しく。

「………………うん」

「ゴメンね。だから、あげられないんだ」

 困った表情で笑う。
 ゴメンね、ゴメンねと。

「…………わかった。かみ、なくなったらかわいそうだもんね」

 そう言って、親元へ走っていく女の子。
 ラル・ラウトのいつも絶やさぬ笑みは、このような場面で役に立つ。
 ヴィステルの浮かべる笑みは、胡散臭い。
 エリオストは素が仏頂面なので、無理だと自覚している、そして何も言わず。
 ただ悲しい現実を見るだけ。
 この国――いや世界は、こんなにも不安を覚えるものだ。

「………………………………髪、染めようかな」

「ダメですよ。その色は、アナタの両親が授けてくれた『繋がり』です」

 真剣な眼差しで、本気で止める。
 両親を知らない二人にとって、特徴ある部分は両親との繋がりと考えていた。
 だから、髪の色を変えるなどの行為に対しては、抵抗を感じていた。


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【壊レタ時計】01 



 二ヵ月も時間が過ぎていたなんて、信じられないのが現実。


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